位相空間における L-strength

位相空間の開核演算子に関するある等式と,L-strength と呼ばれる S4 の定理のお話。どちらも前から知っていたことですが,今日初めてこの二つの間に関係があることに気がつきました。

位相空間で成り立つある等式

適当な位相空間を固定して,F をその閉集合,X を任意の部分集合,int を開核演算子としたとき

 \mathrm{int}(X \cup F) = \mathrm{int}(\mathrm{int}(X) \cup F)

が成立します。あんまり自明じゃないかもしれませんが地道にやれば証明できるでしょう。

L-strength

様相論理 S4 では,L-strength と呼ばれる論理式

 (\Diamond p) \wedge (\oblong q) \rightarrow \Diamond(p \wedge \oblong q)

が成り立ちます。古典でも直観主義でも。たぶんもっと弱い部分構造論理に様相を入れても成り立つんじゃないでしょうか。作り方によるかもしれませんが。

証明は,Kripke semantics を考えるとわりと簡単。証明論的にやるなら

 (\Diamond p) \wedge (\oblong q) \rightarrow \Diamond(p \wedge q)

が K で成立することを使います。

両者の関係

L-strength の双対をとると

 \oblong(p \vee \Diamond q) \rightarrow (\oblong p) \vee (\Diamond q)

となります。

S4 の話なのでこれを位相空間で解釈することができて,その場合 box と dia はそれぞれ開核演算子 int と閉包演算子 cl に対応します。したがって解釈した結果は

 \mathrm{int}(X \cup \mathrm{cl}(Y)) \subset \mathrm{int}(X) \cup \mathrm{cl}(Y)

です。 F := \mathrm{cl}(Y) とおいて両辺の開核をとると

 \mathrm{int}(X \cup F) \subset \mathrm{int}(\mathrm{int}(X) \cup F)

となります。逆向きの包含関係は自明なので,最初の等式が導かれます。