順序集合の圏の regularity

あるテキストに「順序集合の圏は regular じゃないよ」と書いてあったので証明してみようと思ったら、証明できなかった代わりに「順序集合の圏が regular である」ことの証明ができました。書いてみます。さてどこが間違ってるでしょう。

必要なことは

  1. terminal と pullback がある
  2. kernal pair が coequalizer をもつ
  3. regular epi の pullback は regular epi

です。

terminal

一点集合。順序は一つしか入らない。

pullback

 f : A {\;\rightarrow\;} B \leftarrow C : g の pullback は、集合としての pullback を直積の部分集合とみなして順序を入れたもの。

coequalizer

 f, g : A {\;\rightarrow\;} B に対し  p : B {\;\rightarrow\;} C を集合の圏での coequalizer とする。

C には  c \leq c' {\;\Longleftrightarrow\;} \exists b \in p^{-1}(c), \exists b' \in p^{-1}(c'), b \leq b' で擬順序が入る。これを割って順序集合にしたものを  q : C {\;\rightarrow\;} Q とする。

いま  h : B {\;\rightarrow\;} X h \circ f = h \circ g を満たすとすると、C のとり方から写像  \overline h : C {\;\rightarrow\;} X \overline h \circ p = h を満たすものが一意的に存在する。さらにこの等式と C の擬順序の作り方から  \overline h は擬順序を保存することもわかる。

この  \overline h がさらに  q : C {\;\rightarrow\;} Q を通じて分解することは、Q の作り方が Poset から Preord への忘却関手の左随伴であることからわかる。

こうして h の分解が与えられる。その一意性も議論を逆向きに辿ればわかる。よって Poset は coequalizer をもつ。

pullback of a regular epi is a regular epi

補題

 f : A {\;\rightarrow\;} B が regular epi であることは、次の二条件を満たすことと同値。

言い換えれば、B の順序が、f の単調性を保証する順序の中で最小のものであるということ。

必要性。regular epi であれば、適当な射の対の coequalizer になっている。つまり上記の構成における  q \circ p : B {\;\rightarrow\;} C {\;\rightarrow\;} Q 相当のものになっている。これは、その作り方から上の二条件を満たす。

十分性。条件を満たす f が、f の kernel pair の coequalizer であることを示す。 k, l : K {\;\rightarrow\;} A を kernel pair とし、coequalizer の構成を行う。

まず集合の圏ではすべての全射は regular なので、 f : A {\;\rightarrow\;} B 自身が集合の圏での coequalizer になる。このとき B に入る擬順序は、f に関する仮定から、B にもともと入っていた順序と一致する。したがって B が順序集合の圏でも coequalizer となる。

主張の証明

 f : A {\;\rightarrow\;} B {\;\leftarrow\;} C : g で f が regular epi とする。また pullback を  q : A {\;\leftarrow\;} P {\;\rightarrow\;} C : p とする。このとき  p : P {\;\rightarrow\;} C も regular epi であることを示す。

 c, c' \in C, c \leq c' とすると  g(c) \leq g(c') である。f の regularity から、 a \in f^{-1}(g(c)), a' \in f^{-1}(g(c')) a \leq a' となるようにとれる。このとき  f(a) = g(c) だから  x \in P a = q(x), c = p(x) となるものがある。同様に  \exists x' \in P, a' = q(x'), c' = p(x') である。

pullback の作り方と  a \leq a', c \leq c' から  x \leq x' となるから、p が regular であることがいえた。

Q.E.D.