two kinds of duality

Handbook of Modal Logic, Volume 3 (Studies in Logic and Practical Reasoning) 読んでたら、古典(様相)論理の代数と空間の双対性の話がきれいにまとまってて目から鱗が落ちたというか、初めて眼鏡をかけたときのように視界がくっきりした気がしたので*1忘れないうちにまとめ。

だいたいの流れ

まず、簡単に示せる事実として、有限なブール代数は適当な集合の冪集合が(包含関係に関して)なす束に同型となることが知られています。具体的には、与えられたブール代数atom 全体の集合を考えればいいだけです。

では、無限ブール代数についてはどうでしょうか。実は、無限ブール代数でどんな集合の冪集合とも同型にならないものが存在することが簡単に証明できます。例えば可算無限集合の有限部分集合と、それらの補集合 (cofinite subsets) との全体からなる集合 B を考えると、B には包含関係でブール代数の構造が入ります。しかし B はどんな集合の冪集合にも同型ではありません。なぜなら B は可算集合であるのに対し、どんな集合の冪集合も可算にはなりえないからです。

そこで、有限の場合に成り立っていたブール代数と冪集合のきれいな対応関係がどのようにすれば無限な場合に拡張できるかということを考えます。これには二通りの方法があります。

一つは「どのようなブール代数なら対応する集合が見つかるか?」と考える方法。要するにブール代数の方に制限を加えることで冪集合との対応付けを保とうというアプローチです。これは discrete duality と呼ばれる結果を導きます。

もう一つは「どんなブール代数にも対応するものが見つかるためには、何が必要か?」という方向。こちらは、ただの集合よりも多くの情報を持つ構造を考えることで無限ブール代数への拡張を目指す方針です。こちらは位相を導入することによって解決され、その結果は topological duality と呼ばれます。

*1:本当はそのときのことはよく覚えていないのですが、叔父が最初に眼鏡をかけたときに、よく見えることにいたく感動していたというエピソードを聞いたのを思い出したので